May 2, 2005

 

 サイヘル島 〜美しい岩壁画とナイルの夕陽 

 

 

サイヘル島に上陸する。

当然、 島の地図も、情報もまったく手元にない ヽ( ´ー`)ノ 

何とかなるだろうと、そんな軽い気持ちでたどりついてしまった。

よそもののファルーカが、岸に近づいてくるのを上からみていた じいさん が、こちらへ歩いてくる。

 

バクシーシ目当てだろうが、どうやら島を案内してくれるらしい。

 

(;´∀`)。oO どこに連れて行かれるかわからないけど、とりあえずついていくしかないだろうな。

壁画があるところまで、ちゃんと連れて行ってくれるかなあ。

壁画ってpictureなのかpaintingなのかcavingなのか、写真でも見たことがないからまったく検討もつかないし、なんて説明しよう(;・∀・)

どっかのHPか本で見た“時間があったらぜひいってみて。お勧めです。”の前情報しかないしなあ。

 

まあ、なんとかなるべ ヽ( ´ー`)ノ

 

じいさんのあとについていく。

かなり上り下りがあって、筋肉痛をわずらっている彼は必死で堪えている。

サイヘル島で 一番景色のいいところ につれていってくれた。

ここから、アスワンハイダムとナセル湖が見える。

なによりも、木々の緑色とナイルの水の色と花崗岩のベージュ色が、透き通るような青い空に映えて 絶景(・∀・)

ナイルに浮かぶファルーカも絵になるが、ここからの雄大な景色にはかなわない。

 

苦労してきた甲斐があった 。・゚・(ノД`)・゚・。

 

心地よい風が、今日一日、怒りまくっていたことを全部吹き飛ばしてくれる。

 

アスワンは赤色花崗岩の産地で、古代の神殿、オベリスク、

なんと、ピラミッドの王の間にもここの花崗岩が使われているらしい。(ちなみにピラミッド外壁は石灰岩)

じいさんとのおぼつかない会話によると、ドイツ軍(?)もここの花崗岩を切り出していたらしい。

何に使っていたのかを聞いたけれど、このじいさん、こちらの言うことはほとんど理解できないので、会話が成り立たない (´・ω・`) 

帰国後Webで検索するも、サイヘル島自体の情報が少なすぎていまだ謎は解明できず。

 

ついでなので、サイヘル(セーヘル)島についてわかったこと。

もともと、アフリカが信仰起源とされる豊穣をもたらす増水の女神、アンケト女神を崇拝していた地。

アンケト女神信仰は古く、古王国時代の記録にも“ラーの娘”として登場する。

パピルス笏を持ち、丈の高い羽付(ダチョウ!?)の冠をかぶった女性の姿、又はガゼルの姿で表される。

新王国時代になると、アンケト女神は、クヌム、サテトなどと共にエレファンティンの三柱神を構成するようになる。

アブシンベル小神殿にもレリーフが残る。・・・これだけです ヽ( ´ー`)

 

景色を堪能した後、お目当ての“壁画のある所に連れていって”とお願いする。

 

ここで、じいさんごねだす ( ゚д゚)ポカーン

 

“自分のうちにこないか。シャイもカルカデもある。ヌビア村だぞ(・∀・) 見たいだろ?

 

( ゚Д゚)ハァ? 

 

“壁画をみたい。ヌビア村には行きたくない。”

 

じいさんもねばる。どうやらみやげ物を売りつけたいらしいが、そんなものには興味がないので、

意地でも“ 壁画のところへつれていけ (゚听) ”を連呼。

 

せっかくよくなった機嫌をそこねないでくれよ (´・ω・`)

 

5分ぐらいの押し問答の末、じいさん、ようやく歩き出す。

 

目の前に現れたものは、 巨大な岩。そこにすごい数の岩壁画

想像をはるかに超えている。

 

最高(*´Д`) ”の一言。

 

聳え立つ岩 にコレでもか、これでもかと神やファラオの絵、ヒエログリフやカルトゥーシュが描かれている。

ここはちゃんと政府が観光地として設定(20LEのチケットあり)してあるので、じいさんははいってこれない。

 

なんと、“ 岩にのぼって、探検していい ”と、遺跡の番人にいわれる。

しかも、“壁画のあるところに案内するから、ついて来い”と。

 

この岩、結構複雑に入り組んでいて、大きいのから小さいのまで、あちらこちらに壁画がある。 250以上 あるらしい。

誰が何の為に、しかもこんな場所に、壁画を残したのか、とても不可解だけど、

何が書いてあるかをしりたいので、とりあえず、写真をとりまくる。

 

遺跡ガイドが、ラムセスIIを見つけると、“ラムシース”と教えてくれる。そこらじゅうにラムシースがいる。

ラー・ホルアクティ、ラムセスII、アムン・ラー、プタハの4神が、ならんで書かれている碑文もある。

なにやら、他にもラムセスIIをたたえるようなものが結構残っているので、ラムセスIIの英雄記かなあとも考えたけれど、

アブシンベルやルクソールにあんなに巨大なものをつくれた王がなんで、

こんな辺鄙なところにちまちまと自分の記録を残しているんだ ( ゚Д゚)? 

しかも、岩の表面を削って絵を描くというなんとも原始的な方法で (´д`;)

 

こういうときに頼れるのが吉村先生(・∀・)

http://www.yugakusha.net/study/yoshimura_egypt/200502-2.html

 

あれっ、なんか間違ってますよ(;・∀・) “人は住んでいません”って書いてあるけど、ここには立派なヌビア村がありますよ。

ちゃんと村人が生活してます。

吉村先生、ちゃんと現地に足を運んでるんですか!?

吉村先生によると、ジョゼル王(ピラミッドのお話参照)の治世について書かれた碑文がこの中に残されているらしい。

 

ちょっとまてΣ(゚д゚lll) 

ラムセスIIとジョゼル王の治世には1300年以上も間があいているんだぞ!!??

この壁画、いつかかれたものなんだ!? 謎が謎を呼ぶ。

 

細かい背景はまったく理解できていないが、とにかく壁画はすばらしかった。

なによりも探検しながら壁画を見つけるのが楽しかったし、ガイドも岩のぼりに手を貸してくれたし、根気よく案内もしてくれた。

 

このガイド、帰り際にとっても遠慮がちに“バクシーシ?”と右手の親指と人差し指をこするしぐさをする。

“心配するな”と背中をぽんぽんとたたいて、 はじめて快く ポケットに用意してあったバクシーシ(チップ10LE)をわたす。

ガイドは照れたように笑って、ここにつれてきたじいさんのところへ連れて行ってくれた。

 

このじいさん、私たちが壁画探検をしている間に、

村に帰ってみやげ物をつくっている女の人たちを わんさか呼んできていた (;´∀`)

手に持っている手作りのビーズネックレスやらブレスレットを横目で見ると、 結構いいのがある(・∀・)

あんまりほしそうにすると、高額で売りつけられると早足で歩きながら、しかたなく見てやるふりをする。

彼がヌビアのブレスレットが気に入ったらしい。

しかも“10LE”と特に交渉も必要もないと、言い値で買っている。

私も立ち止まって、ビーズのネックレス2つを半ば押し付けられるように買わされてしまった。

ちょっと長めだけれど、とても精巧で素敵なおみやげになりましたヽ(゚∀゚ )ノヽ( ゚∀゚)

 

日もゆっくり落ちてきたので、ファルーカに戻る。

じいさんもちゃっかり“ガイド料”を請求してきたので、しかたなく5LEにぎらせてやる。

すっごい不満げな顔で“これだけ?”と聞かれるが、道案内だけならそんなもんでしょう。

 

みやげ物を売りつけることに固執したのがまずかったのお (´ー`)y─┛~~

 

ファルーカにのって、アスワンへ戻る。

夕陽が水面に光って、きらきらと輝いている。日よけもはずしてくれて、想像していた以上の風景だ。

船長たちがまた お勧め)になる。

 

生涯でみたなかでも5本の指に入るぐらいの美しい夕陽

 

日焼けしたことをわすれさせてくれる気持ちのいい風。

エンジン音もないから、自然の音しか聞こえない。

 

帰りの船で、船長の友達に消えるコインマジックをおしえてもらう。

たあいもない簡単なマジックだが、種明かしをされてもできない。結構むきになるも結局できなかった。

船長たちの笑った顔が夕陽にとけて、なんともいえないいい味をだしている ヽ( ´`)

 

アスワンに近づくと、他のファルーカをちらほらみかけるようになる。

白い帆に夕陽の色が映ってとってもきれい。

船が岸につく頃には、もうほとんど日が落ちていた。時計をみると7時を回っていた。

 

機嫌がよかったので、おもいっきりチップをはずむヽ( )ノヽ( )

 

船長ひとりにUS$10とペン1本をふたりに。チップのほうがツアー料金よりも多く払っているというのは内緒の話w

それだけ、この船旅が与えてくれた感動が大きかったのだ。

船長たちにおもいっきりお礼をいわれて、別れを惜しまれる。

 

最高の時間をありがとう ( ´∀)