タツノオトシゴマングローブの秘密 タツノオトシゴ

〜 過酷な環境で生きぬく動植物 〜

 

マングローブとは?

 

マングローブとは森林の型につけられた名前

熱帯から亜熱帯地方の川の 河口  海水の出入りがある汽水域に生育する。

また、内湾など、波辺りのない場所で、小さなマングローブ林 が生育することもある。

汽水域は泥がたまりやすいため、マングローブ林から海にかけて、干潟になる場合が多い。

泥は酸素濃度が薄い土質であるため、植物が土から十分な酸素を取り入れることが難しい。

そのため、呼吸根 とよばれる根が地表に顔を出し、空中から酸素を供給する樹木が多く生育する。

 

マングローブ林が海に近い環境で生育するのは、陸生の植物との生存競争に負けたから。

種を存続させるために、海側へ海側へと追いやられてしまった。

そのマングローブ種の中でも、生存競争が存在し、帯状分布 が見られる。

競争に勝ったものが、より陸生に近いところで生育し、

負けたものは、満潮時には幹や一部の葉まで海水につかってしまうような

より過酷な環境である水際に追いやられ存在する。

 

 

生育する地域:

 

九州南端のメヒルギ群落がマングローブの最北端といわれる。

沖縄本島以北:メヒルギのみ

以南:構成種が増える。 国内では石垣の 宮良川河口 のマングローブ林の面積が最大といわれている。

 

 

マングローブ林を形成する主な植物:

 

一番陸生に近いもの(海水をかぶることはないが、海水の影響を受ける): サキシマスオウノキサガリバナ

河口付近: ヒルギ科:漢字で 漂木 と書き、木が水に漂っているようにみえるところが名前の由来

八重山ヒルギ(南) → メヒルギ(北) → オヒルギ(赤花ヒルギ) (陸側 → 海側)

一番海側: ヒルギだまし → ヒルギもどきマヤプシキ (陸側 → 海側)

 

マングローブ林の主役は樹木だが、それ以外にも、つる植物や草木が生育する: ニッパヤシアダン など

 

観察できた7つのマングローブ種の特徴:

 

★ サキシマスオウノキ: 特徴的な板根(ばんこん)

 

★ 八重山ヒルギ: タコの足状の 支柱根 根が木を支えているように見えることから、しちゅうこん。

つやのある分厚い楕円形の葉 白い花をさかせたあとに、胎生種子* がなる。

マングローブといえば、この木を思い浮かべる人多し。

 

★ メヒルギ: つやのある分厚い楕円形の葉 幹の付け根が板根状に広がる。

背の低い木で、西表のジャングルでは存在感が薄くなりがち・・・。 本島より北側が生育の本拠地

 

★ オヒルギ: 別名アカバナヒルギ 名のとおり赤い花を咲かせる。

赤いガクの下に鮮やかな緑の 胎生種子 をつける。

輪切りにするとスポンジ状になっている根に濾過機能がそなわっていて、海水に含まれる塩分を調節できる

人が膝を折り曲げたような、くの字に曲がった 膝根(しっこん) が特徴的。

より海水域に近く、水につかることが多いため、

干潮時に多くの酸素を取り入れようと、広範囲にわたって膝根を伸ばす。

 

★ ヒルギだまし筍根(じゅんこん) 筍のような細い根がにょきにょき地上に現れる

この根は 通気根 ともよばれ、根っこの癖に 呼吸光合成 と葉と同じ役割をする。

根の先は緑色 光合成のための葉緑体をそなえている

葉を口の中で噛んでみると、塩味がする(ような・・・微妙orz)

根で海水を濾過する機能がないヒルギだましは、

海水をそのままとりいれ、葉にある 塩類腺 という器官から塩分を排出する (排塩効果

排塩処理が間に合わないときは、何枚かの葉に塩分を溜め、自らその葉を落とすという優れもの。

最前列という過酷な条件下で生きのこるためのヒルギだましの特殊機能である。

 

*同じく、最前列で生育するヒルギもどきは、石垣にはほとんど残っていなく、西表にあるらしいが・・・ 未確認 orz

ヒルギもどきには、呼吸根がないそうです・・・。


★ ニッパヤシ: 幹がなく、葉が地面から直接でている。 シダが巨大化したような植物

★ アダン: たこ足のような支柱根 パイナップルに似たオレンジ色の実をつける。

 

*胎生種子: おなかの中で赤ちゃんを育てる哺乳類 = 胎生動物 と成長過程が似ていることから “胎生種子”

果実が枝についている状態で、鉛筆のように根が伸び始め、

ある程度の大きさになると、その根の先端に新芽がついた状態で果実から抜け落ちる。

親を離れた種子は、海流に乗って分散し、泥の表面に落ちつくと成長を始める。

 

 

マングローブ林に住む生き物:

 

日記本文で登場する生き物は、 こちら で。

 

カニ類: シオマネキ ・ ミナミコメツキガニ 他いろいろ

魚類: トントンミーなどのトビハゼ類

呼吸根が入り組むマングローブ林の根の中には、アイゴ類・ハゼ類などの小魚が身を隠し、

それを捕食するウナギなども生息する。

鳥類: クイナ ・ シロサギ などなど

貝類: 木の上で暮らすタマキビ貝 ・ 砂茶碗をつくるツメタガイ

マングローブ植物の落ち葉や種子を食べる巨大シジミ ・ キバウミニナ

八重山ヒルギの根を見ると、黒いキバウミニナがわんさかついている

その他: ゴカイなどの微生物系