May 4, 2005
墓守も撃退だ <クルナ村・貴族の墓>
“貴族の墓”とは新王国時代のテーベ(ルクソール)の私人墓のこと。
王家の谷と王妃の谷の間に広がる広大な区域に、テーベ山の斜面を掘って作られている。
その数、500基 あまり。
先ほど訪れたデール・イル・マディーナの2基の墓も貴族の墓に含まれるが、
現在Tombs of Nobles(貴族の墓)というと、クルナ村地区にある15基の観光用に整備された墓のことを指す。
15基あるといえど、ここはエジプト ヽ(゚∀゚ )ノヽ( ゚∀゚)ノ
この日公開されていたのは、ラモーセ・センネフェル・レクミラ・ナクト・メンナのたったの5基
ウセルヘトとカーエムヘトも公開されているはずなのだが、柵は固〜く閉ざされていました (ー'`ー;)
墓地の上には地元民の民家が建ち、歴史的にものすごく価値のある墓を
そっくり倉庫や家畜小屋に使う など横暴なことをしているせいか、
ほとんどの墓が著しく損傷を受けている ( ゚д゚)ポカーン
地元民曰く、
“過去の遺物!? ( ゚Д゚)ハァ?
そんなものは観光客を呼び込むための餌。自分たちの生活の方が大事”
な、嘆かわしい 。・゚・(ノД`)・゚・。
こんなにすばらしい遺物があるのにもかかわらず、何の興味も持たないなんて。
しかも、下水道が整備されていないにもかかわらず、住民の数がどんどん増加しているため、
その生活排水が墓の湿度を上げ、壁画を痛めつける速度がますます上がっているらしい。
クルナ村 に入ると、自称“ガイド”の子供たちの歓迎をうける。
“目的の墓は家の中にあるから見つけられない。僕が連れてってあげる。10LEでどうだ(・∀・)”
有名な観光地だし、絶対自分たちで見つけられると確信していた私たちは、無視(ー'`ー;)
“5LE”“4LE”と言い値は下がるものの、無視する一番の理由が、細かい札が一枚もない ⊂⌒~⊃。Д。)⊃
足早に墓があるであろう方角に立ち去ると今度は、物売りの少女。
“マダ〜ム(Madam)、マダ〜ム 5ポンド”と背後霊のようにつきまとわれる。
袖をひっぱられ、哀しい目を向ける(´・ω・`) なだめるように断っていたが、あまりにもしつこい。
暑さのせいか、バクシーシおやじたちとの戦いの最中のせいか、不覚にも ぷちっっ(#・∀・) といってしまった。
“ラッッ(No)ヽ(#゚Д゚)ノ”とどなりつける。
周りに住民も観光客もいなかったので、思いっきり・・・ すくみあがってたし・・・
さすがにこんな小さな女の子にいい大人が怒鳴っている姿はだれにも見せたくない。
どこからどう見ても、私が悪者 orz
暑さと疲労はここまで人間から寛容を奪うものなのだなあ (´・ωヾ)
ラモーセの墓は未完成のまま放置されている。彩色がほとんどないため、別名“白い墓”
さっき見てきたセンネジェムやインヘルカウの鮮やかさとはうってかわって、地味な無彩色の浮彫りがメイン。
ただ、ひたすらだだっぴろい。
しかも、足元は固められていなく、普通の土。瓦礫がごろごろして歩きにくい。
放置されてしまった未完成の壁面が哀愁をただよわせる。
浮彫りは彫りが浅く、非常に繊細。素人が見てもその技術の素晴しさが分かる。
教科書で見たことのある“ラモーセの葬列を見送る泣き女たち”を見つけて感動するヽ(゚∀゚ )ノヽ( ゚∀゚)ノ
ひとりだけおっぱいが下に垂れているのが妙につぼにはまった。
で、足元に転がっている 瓦礫に躓いて、足をひねった (´д`;) のは内緒の話w
センネフェル - 別名“ぶどう園の墓”
天井の凹凸をうま〜く利用して、ぶどうの房が垂れ下がっている様子が3次元で表現されている。
(゚Д゚≡゚Д゚).。oO しっかし、またなんで、天井の凹凸をそのままにして漆喰(粘土+石英・石灰・藁)で固めたんだろう?
左官職人もさぞかしやりにくかっただろうに。
この墓もかつて住居・倉庫として使われていたせいか、壁画の亀裂や剥離が痛々しい。
幸い、地下深くまで掘られていた事と岩質がよかったおかげで、無茶をしていたわりには保存状態は非常によい。
壁も柱も、葡萄の房の下、センネフェル夫妻の愛があふれるような装飾で埋め尽くされている。
装飾は、二人の魂での来世の旅がテーマ。
葬儀、オシリスの裁判(マアトの羽と心臓を天秤にかける有名なシーン)、アドビス巡礼、開口の儀式、復活と順序良くかかれ、
最後は二人でこの埋葬室から出て行くというなかなか素晴しい趣向になっている。
レクミラ バクシーシおやじ キタ――♪ o(゚∀゚o) (o゚∀゚o) (o゚∀゚)o キタ――♪
ここの番人は、鏡を巧みに使って外の光を導いて、壁画を“見やすく”してくれる。
レクミラの礼拝堂の天井は奥に向かって高くなっているので(一番奥は8-9mぐらいあったかな?)、
上のほうの絵をじっくりみたいなら番人の助けがいる。
ただ、番人が2人ともつきっきりで他の観光客2人の相手をしていたので、私たちは外からの光のみで鑑賞。
入って左手の壁には、奴隷や職人たちがどのように仕事をしていたかが詳細に描かれている。
食料の収穫や加工、計量や納税、煉瓦づくりやつぼ絵付けetc
右手は、超金持ちのレクミラが、来世でも現世と同じような生活が待ってるよといわんばかりに、豪邸、ごちそう、宴会。
でも、気になる(・∀・) のは、3段腹 とか 強調されたT字の乳首 とか、
ぽっこりおなか とか、お尻の引き締まり具合 とか、
ムキムキのマッチョマン とか、修正した線 とか、わけのわからない落書き のようなものとか(n‘∀‘)η
当時の職人たちがどんな気持ちで壁画を描いていたのか、
なんで、わざわざくっきり3段腹にしたのかとかを考えていると、なかなか見ごたえがある(´ー`)y─┛~~
ナクトに行く前に、ちょっともよおしてきたので、土が盛り上がったところにかくれて、こそっとプライベートタイム(´∀`)σ)∀`)
西岸を徒歩で見学するなら、トイレにはこまりませんw
広々としたところで心も体もすっきりいい気持ちヽ( ´ー`)ノ
ナクト 壁画の状態を保つ為に、壁面がガラスでおおわれている。
ここの絵は結構むごいことになっている。
後世の修復か、オリジナルかはわからないけど、一言で言って、雑。
はみ出しまくり〜の筆跡の方向がめちゃくちゃ〜の・・・後世の仕業と信じたい。 あまりにむごい(´Д⊂
見逃してはいけないのが、3人の女楽師と狩猟場面。
3人の女楽師の真ん中、リュートを弾いているのは、テーベの墓ではじめて裸になった女性w
かなりスタイルがよろしい。゚+.(・∀・)゚+.゚
もうひとつの狩猟場面は、沼地で野鳥狩りをしているナクト。左右で同じ人物が配置された2重の場面がひとつになっている。
野鳥の特徴が、細部まで描かれ、種名まで分かっているらしい。
メンナ またまた鏡をもったバクシーシおやじが。。。 (ー'`ー;)
貴族の墓を訪れる観光客が絶対的に少ない上に、ナクトとメンナは人気がないので、とにかく番人達のからみがすごい。
墓の見学を始めると、目線の先に鏡の反射光。
ひかって、見にくいっちゅうの ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)д) ゚ ゚
細かい札をまったく持ち合わせてなく、バクシーシをねだられてもこまるので、撃退しなくてはならない。
反射光が来たら、すかさず別の壁面をみる。指を指しながら、声を出してガイドブックを読む。
攻撃が指の先に向いたら、おやじの顔をじっとみて、首を横に振り、“いらない”意思をしっかりと示す。
これを3回ほど繰り返すと、ふてくされて座りこんでいた。
たった2人で墓を独占・見学をしていた20分がとても平和だったヽ( ´ー`)ノ
メンナはナクトと同じ絵師によって装飾が施されたらしく、モチーフはそっくり。
こちらも塗り方が 非常に 雑でした。