異物誤飲と飼主の義務 

 

異物誤飲は、日常的に起きる数多い事故である。

飲み込んだもの次第では愛犬の命にかかわることもあるということを忘れてはいけない。

中毒物質や薬物以外の小さな異物でも、排泄されず、胃や腸に詰まってしまったら、

全身麻酔をかけた開腹手術を余儀なくされ、愛犬の体に多大なる負担をかけてしまうのです。

糸くずですら、臓器に巻ついたり、胃酸により物質が変化したりと、命を奪う凶器に。

レントゲン撮影・バリウム造影で映らない竹串や桃の種・ガムやプラスチック製品などは

基本的に自然に排泄をするの待つしかなく、忘れた頃に愛犬に牙をむくのです・・・。

異物誤飲の兆候: 嘔吐を何度も繰り返す。 食欲がなくなり、水も飲まなくなる。

原因不明の水っぽい嘔吐が続く。

一番大事なことは、日頃からあやまって飲み込む危険性のあるものを 犬の行動範囲に置かない こと。

飼主は、なくなってしまったものをきちんと把握し、誤飲の早期発見 につとめること。

犬には 一度口に入れた物を飲み込んでしまう本能がある ということを忘れないこと。

 

他人が犬と遊んでいる(特に近くに食べ物がある)時には、

 

★ 必ず自分の目で監視する ★

 

人間の食べ物を与えるときに、食べてはいけないものと一緒にあげない、人にもあげさせない こと。

(焼き鳥の串、果物の種(桃が一番危険!)、皮(メロンなど)、サランラップ、楊枝)

 

 誤飲は100%飼主の責任 ということを自覚する 

 

 

異物誤飲の応急手当

 

★ 何をどのくらいの量、口に入れたか確かめる ★

★ 飲んだ実物(製品表示ラベルも可)があれば病院へ持参する ★

 

 犬が異物を飲み込んだ直後、窒息していない:  をつかって吐き出させる

体重4〜5kg当たりティースプーン1杯の塩 (体重15kg/3杯)を犬の口に直接入れて飲ませる。

水は一緒に使用しないで塩だけをスプーンで与える。 10分経っても変化がなければもう一度試す。

 ウンチで出てくる可能性のある小さな異物: ふかしたサツマイモ を与える

1日か2日、食事代わりにふかしたサツマイモだけを与えて便の様子を観察する。

 とがった異物 (串など): すぐに病院へGO

内視鏡によって取り除くことが一般的

内臓に突き刺さり、手術しなくてはならない場合もあるので、様子見は危険 すぐに病院へ。

こっそり犬が持って行くのを目撃した場合、大声をあげて走りより取り返そうとすると、あせった犬が丸呑みにしてしまう。

現場を見てしまっても 落ち着いてゆっくり近づき、「ちょうだい」などの命令をかけてとりかえす ように。

 殺虫剤や化粧品など: オキシドール を使い、すぐに吐き出させる

家庭用のオキシドールを口の端から少しずつ飲ませると胃の中の物を吐き出す 吐いたらすぐに病院へGO
病院に行く時には飲み込んだものと思われる薬剤や化粧品などの容器を一緒に持っていく。

酸・アルカリ(洗剤系)・石油製品など、吐き出させてはいけないものもある (下の表参照)

 ボールなどを喉に詰まらせてしまった時: 舌を引っ張る 肋骨をぐっと押す

犬の上あご(鼻の少し上)をつかんで口を開け、舌を引き出して喉を見る。 異物がつかえていたらピンセットなどで取り出す。
犬のおなか(後足の付け根)を両腕で抱え込むようにつかんで、頭が下になるように持ち上げ、その状態でそっと振る
前・後脚は地面に付いた状態で、肋骨のすぐ下に両腕を入れ、きつく巻きつけ、1回思いっきり締める。

ゆっくりギュ〜っと締めるのではなく、グッと1回締める。
(意識がない場合は、犬を横向きに倒し、肋骨のすぐ下に両手を重ねておき、2回力いっぱい押す。)

 その他飲み込んだ異物でよくあるもの: ゴルフボール・マジックボール・コイン・ボタン・縫い針&釣り針など

 

 

対処法一覧

 

 飲んだもの 

 処置法 

ボタン ・ 硬貨 ・ 小さなおもちゃ ・ 粘土 ・ 消しゴム

  吐かせる (塩/オキシドールを使用)  吐かない場合はふかしいも作戦

ボタン電池 ・ シリカゲル

  吐かせない ふかしいもを与え、2・3日様子をみる 電池は粘膜を腐食して穴をあける事もある

串 ・ 画鋲 ・ 針 ・ ガラス等のとがったもの

  吐かせずすぐ病院へ 無理に吐かせると気管やのどの粘膜を傷つける可能性大

たばこ 

  吐かせずすぐ病院へ なにも口にさせない 飲食するとニコチンの吸収が促進

柔軟仕上剤 ・ 石鹸 ・ シャンプー ・ リンス

香水 ・ 化粧水 ・ 殺虫剤

  吐かせて病院へ (塩/オキシドールを使用) 石鹸や化粧水は、あとで下痢がみられる

白髪染め 1剤式

  吐かせずすぐ病院へ 少量でも危険

白髪染め 2剤式

  牛乳を飲ませて病院へ

洗浄剤・漂白剤 ・ 強酸・強アルカリ

  吐かせずすぐ病院へ 吐かせると食道が化学薬品でやけどをする

 ナフタリン・しょうのう ・ パラジクロロベンゼン

油性絵具 

  吐かせて病院へ (塩/オキシドールを使用) 

  牛乳など油性のものを飲ませると吸収が促進され危険

石油製品 (灯油・シンナー)

  吐かせずすぐ病院へ 吐かせると気管に入り重症の誤嚥性肺炎を起こす可能性大